以前、時計のバンド交換でご来店されたお客さま。その時にジュエリーの修理やリフォームのお話をしていたのを覚えていてくださり一年後にまたご来店くださいました。若い時に購入したものや大切な人から譲られたものなどいろいろな宝石をおもちになり、リフォームのご相談にお見えになりました。「最近は宝石を眺めて楽しむことが多くて、身に着けることも少なくなっているんです。以前、ジュエリーのリフォームのお話を聞いてからずっと気になっていたんだけれど、なかなか一人で出歩くことも難しくて」とお話ししてくださいました。そんな奥さまを気遣って、ご主人さまも一緒にリフォームのご相談にお見えになりました。
お客さまのお持ちになった、さまざまな宝石を見せていただきながら、その中でも一番状態が良く、穏やかで落ち着いた雰囲気のお客さまにも似合いそうなカボションカットの青色の宝石をリフォームすることをご提案しました。丸く半球形に磨き上げた形が特徴的な『カボションカット』。カボションとは中世フランス語で「頭」を意味します。半透明、不透明な石に用いられることが多いカットで、キャッツアイなど光による表情を楽しみたいときにもカボションカットが選ばれます。また、翡翠やオパール、トルコ石などの硬度の低い宝石の場合、ファセット面のエッジが磨滅しやすい理由からカボションカットを施されることが多いです。
お客さまは宝石をご自身で眺めて楽しむことが多いとお聞きしたので、身に着けながらご自身でも目にして楽しめるような指輪にリフォームすることに決まりました。メインの宝石が大きくしっかりしているので、周りのダイヤもメインの宝石を引き立てるようにしっかりと華やかになるようにデザインをしました。また、普段身に着けられるようにしたいということだったので、引っかかりのないように枠にメレダイヤがしっかりと収まるようにしました。
丸いカボションカットが特徴的な青色の宝石
周りにメレダイヤをあしらい上品で華やかなイメージに
初めてリフォームをされるというお客さま。出来上がったときのイメージがしっかりと伝わるように、完成のイメージを絵に描いたり、お店にある実際の商品を見せながら、こんなふうに仕上がりますとお伝えしました。「こうやってリフォームしていくんだね。面白いね」と言いながら、お客さまとやりとりしてできる限りお客さまの思っているイメージに近づけていきました。
完成したリフォームをご覧になったお客さま。「すごい! 宝石のままでもきれいだけれど、こうして指輪になるともっとすてきだね。まるで生まれ変わったみたいでうれしい。これなら、どこにでも身に着けて行けるね」と喜んでくださいました。
初めてリフォームされるということもあり、お客さまがとても喜んでくださり、リフォームをご提案できてよかったと思いました。宝石はそのままでももちろんきれいですが、指輪やペンダントなどのジュエリーに変えることで、ご自身で身に着ける楽しみもできます。ご自身のお気に入りの宝石で作ったジュエリーは世界で一つだけのオリジナルアイテムにもなります。気になることがございましたら、ぜひお店までお気軽にご相談ください。