あちこちで桜の開花が聞かれるようになってきました。
東京など関東ではすでに満開になっている所もあるようです。
今年は新型コロナウィルスの影響で
大規模な花見での宴会も自粛になっている所もありますが、
桜を遠目から眺めるだけでも春の訪れを感じられて気持ちが少し穏やかになりますね。
春になると、パステルカラーなどの明るい色やシフォンなど
柔らかい素材の洋服に袖を通す機会も増えてきます。
洋服の雰囲気に併せてジュエリーもピンクゴールドやアクアマリンなど
優しい色合いのものに合わせると全体の雰囲気もまとまってみえるのでお勧めです。
先日、当店をよくご利用いただいているお客さまが、
愛用している指輪の修理にご来店くださいました。
ピンクゴールドのピンキーリングでひび割れのご相談でした。
「いつも小指に着けているのですが、
なんだか最近指にはめるときにひっかかるような違和感を感じていたんです。
よく見たら筋のようなものが入っていて直りますか」
とお話ししてくださいました。
お客さまのお持ちの指輪を拝見すると
リボン柄のピンクゴールドの指輪の背の部分に亀裂のようなひびが入っている状態でした。
「ひび割れして亀裂が入っているので、ロー付けして修理できます」
とお伝えすると安心してくださったようでした。
また「ピンクゴールドは傷がつきやすいのですか」
とお客さまからご質問があったので、ピンクゴールドの素材の特性についてご説明しました。
指輪の背にひびが入っていました
ロー付けしてひび割れを修正しました
その可愛らしい色合いから人気のあるピンクゴールド。
普段づかいにはもちろん、結婚指輪や婚約指輪として希望する女性も増えています。
ピンクゴールドなどのいわゆる「カラーゴールド」は、
「純金」と他の金属を混ぜ合わせて作られた合金になります。
混ぜるほうの金属を割り金といいますが、
割り金に使用する金属の種類や量によって色が変化します。
ピンクゴールドは、純金に「銅」「銀」「パラジウム」を混ぜ合わせて作られますが、
その中でも混ぜる量の割合が最も高いのが銅です。
つまり、ピンクゴールドがピンク色をしているのは割り金の銅によるものなのです。
銅と銀のみを配合したり、銅とパラジウムの割り合いを変えることで、
淡いピンクや濃いピンクなどの色合いにも変化をもたせることもできます。
割り金である銅・銀・パラジウムはそれぞれ、
変形や傷に対する耐久性(硬度)が異なりますが、
その中でも最も丈夫なのが銅です。
つまり、銅の割合が多いピンクゴールドほど変形や傷に対する耐久性が高いといえます。
しかし、銅の特性として、他の金属と比べると
粘りがない素材なので衝撃を吸収する力は弱いのです。
そのため、サイズ直しをした箇所やデザインが細くなっている箇所に
力が加わるとひびが入ってしまう場合もあります。
お客さまのお持ちのリングはピンキーリングで細身のデザインだったので、
少し強い衝撃が加わっただけでもひびが入りやすかったのかもしれません。
「同じジュエリーでも素材や宝石によって特性があるので、
いつでもご相談ください」とお話ししたところ、
「素材によっていろんな特徴があるんですね」と仰ってくださいました。
修理ができたことをお伝えすると、
「いつも小指にしていたのでないと落ち着かなくて。やっとしっくりきました!」
とお喜びでした。
ピンクゴールドは日本人には肌なじみも良く上品な印象が特徴のジュエリーです。
またゴールドなどの他の素材と比較しても安価で楽しめるジュエリーでもあります。
ぜひ素材の特性を知ったうえで適切なメンテナンスをしながら
ジュエリーを楽しんでいただければと思います。